【指導事例のその後】不登校からの再スタート——始業式から毎日登校を続ける彼女の成長記録
こんにちは。オーダーメイド学習塾「はつが」塾長の千田です。
今回は、以前ご紹介した不登校だった生徒さんの「その後」についてご報告します。2025年度を迎えるタイミングで復学のスタートラインを切りました。
出会いと最初の関わり
私が彼女と出会ったのは、2024年7月のことでした。
彼女は小学校5年生のときにお母様を亡くし、それ以降、学校に通うことが難しくなっていました。
「学校に行こうと思っても体が動かない」「散歩に出たくても気持ちが向かない」——決して後ろ向きではないものの、少しずつ内向きになっている様子がありました。
私が彼女と関わるうえで大切にしたのは、復学を前提にしないことでした。
社会に出ても困らないように、「読む・書く・計算する」という基本的な学びを軸に、彼女のペースで進めてきました。
鉛筆を持つことから始まった学びの変化
彼女は絵を描くのが好きで、最初はタブレットとタッチペンで描いていました。
ですが、先を見据え、私は鉛筆を使ってノートに絵を描くことを勧めました。
タブレットではできない「手で書く」という行為を通して、少しずつ紙と鉛筆に親しんでいったのです。
1週間後には、「鉛筆で書くのって楽しいね」と笑顔を見せてくれるようになりました。
それをきっかけに、中学1年生の数学に取り組み始めました。
問題はノートに書いて解くようにしてもらい、わからないところがあれば、自分なりにノートに整理し直す時間も取り入れました。
最初は私が促していましたが、やがて自分でペースをつかみ、自分のやり方で振り返るようになっていきました。
自分の力で前を向く
学びを続けるうちに、わずか3ヶ月で中学校の授業のペースに追いつき、担任の先生からも「数学は理解できている」と評価されるまでになりました。
私が彼女に求めたのは、ただ勉強ができるようになることではありません。
**「ゆっくりでもいいから、自分で考える力を育ててほしい」**という思いを持って接してきました。
そんなある日、彼女はふと、
「高校に行ってアルバイトをしてみたい。卒業後は早く働けるようになりたい」
と話してくれました。
将来について自分の言葉で語るようになった彼女の姿に、確かな成長を感じました。
自らの意志で始業式に
年度末の3月、彼女は「始業式から行ってみたい」とぽつりと口にしました。
そのときは「行けるかどうかはまだわからない」とも言っていましたが、それでもその一言は大きな一歩でした。
私自身は、学校に行く・行かないという選択は彼女に委ねていました。
どちらを選んでも困らないように、準備はしていたつもりです。
だからこそ、4月の始業式に出席し、今では毎日クラスの仲間と一緒に過ごせているという報告には、本当に驚きました。
保護者からの言葉
彼女のお父さまからは、こんな言葉をいただきました。
「進級のタイミングだったとはいえ、急に行けるようになるとは驚きました。
でも、千田先生のおかげです。孤立を救い、娘自身に『自分でなんとかしなければ』と思わせてくれたからこそ、行動につながったのだと思います。感謝しています。」
自立を支えるということ
学校といえば「何点取れるか」といった評価がつきものですが、
大切なのは、子どもたちが人生の中でどう成長していくかだと思います。
その成長は、大人が無理に仕組むものではありません。
子ども自身の「自立」が鍵であり、大人はその歩みを支え、見守る存在であるべきだと、改めて感じています。
最後に——スモールステップでともに歩むために
自分を追い込んでしまっている子どもたち、そしてご家族の皆さまへ。
焦らず、スモールステップで進んでみませんか。
「はつが」では、お子さま一人ひとりのペースに寄り添いながら、
その子に合った学びを一緒に考えていきます。
お気軽にご相談ください。
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