経年変化分析調査2025を読む ― 学力低下の背景とアナログ回帰の必要性

こんにちは、家庭教師スタイルのオーダーメイド学習塾「はつが」のちだです。

2025年7月31日、文部科学省から「令和6年度 経年変化分析調査・保護者に対する調査」の報告が発表されました。マスコミ各社は「学力低下」という見出しで取り上げていますが、今回はこの報告と私が教育現場で感じてきたことを踏まえて、私なりの解釈をお伝えします。


調査結果の概要

今回の調査は、中学3年生には数学・国語・英語、小学6年生には算数と国語で実施されました。結果は厳しく、2024年度調査報告によると、中学3年生では数学以外の科目で平均スコアが大きく低下。小学6年生は算数・国語ともに20点弱の下降です。

この数字だけを見ると「学力低下」と言って差し支えない状況ですが、その兆しはすでに2021年度から感じられていました。

コロナ禍が残した影響

2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大を受けて政府が緊急事態宣言を発令。文部科学省も全校に臨時休校を要請し、5月まで続きました。

当時中学1年生だった生徒は、現在高校3年生の年齢です。私は2021年ごろ、個別指導塾で彼らを教えていましたが、特に印象的だったのが「漢字を使わない」「漢字を覚えない」という傾向でした。「文章は漢字で書こう」と口酸っぱく伝えても、関心の薄さを感じる場面が多々ありました。

さらに、英単語の暗記が苦手な生徒も少なくありません。テスト前だけ一時的に覚えて、すぐに忘れる。そんな繰り返しです。

小学生に目を向けると、掛け算九九を「呪文のように暗記」しており、桁の多いかけ算やわり算の筆算になるとつまずきます。分数に至っては拒絶反応を示す子も多く、算数嫌いが早期に定着してしまうケースも見られます。

生活習慣の変化と学力

こうした背景には、スマートフォンやタブレットの普及があります。今回の調査報告でも、自宅学習時間や睡眠時間の減少が指摘されています。

また、近年の猛暑により夏休み中の外遊びが減ったことも影響していると感じます。外遊びは体を動かすだけではなく、友達同士でルールを決めたりトラブルを解決したりする「社会性のトレーニング」の場でもあります。こうした経験は、授業中に先生の話を察知し、板書をノートに写すといった論理的思考力の基礎にもつながります。

今こそアナログ回帰を

文章を書いたり写したりする行為は、脳の前頭前野を活性化させます。自分で考え、まとめ、他者に伝える――この一連の流れはすべての教科に共通する力です。

デジタル機器が当たり前の時代だからこそ、書くこと・待つこと・我慢することといったアナログな行動が必要です。今回の調査結果をきっかけに、一人ひとりが「学びの原点」に立ち返ることが求められています。


参考資料