大丈夫は本当に大丈夫なのか
■「大丈夫」「120 点」と言われても納得出来ず 3 回目の面接練習に挑む受験生
皆さんも自分や他人に対して「大丈夫」という言葉を使うことがあるでしょう。私は、ある個別指導塾で講師をしていますが、高校入試が迫った時期に面接練習をしていました。
2 月のある日、高校入試を控えた中学 3 年生の女子生徒が面接練習にやってきました。面接練習としてはこの時が 3 回目だそうで、私は 3 人目の担当者。
面接練習は、1 回のみというルールで運用していました。でも彼女は、1 回目、2 回目と面接練習に臨み、担当した講師から「大丈夫、合格点」「120 点」とも言われたそうです。私が彼女の立場であれば、講師 2 人から評価をもらったのだから、もう大丈夫と思っていたことでしょう。しかし、彼女は 3 回目の面接練習にやってきたのです。
私は彼女にこれまでの状況を確認した上で、志望校の確認と面接の傾向、彼女から面接レポートを預かり、とりあえず一度通しで面接の練習をすることにしました。
「本校を志望した理由」
「中学時代に頑張ってきた事」
「高校で頑張りたいこと」
「将来の夢」
一通り聞いてみると、可もなく不可もなくという感じで、特に問題ないようにも思えました。しかし、彼女がなぜ 3 回目の面接練習にやってきたのかという疑問も同時に沸いてきたのです。
私は彼女に「話としてはまとまっていたと思う」と声をかけると、彼女は少しほっとした表情をしました。私は次の質問で「あなたは緊張する方ですか?」と彼女に問いかけてみました。
すると彼女が「はい、めちゃくちゃします」と答えたのを聞いて、私は気になる事を発見。
実は面接練習に挑む前、彼女は自分でまとめてきたという面接シートを一生懸命暗記していたのです。私の問いかけに対しても、暗記したものを言葉として出せていました。
正直なところ、面接の練習場所で高校受験の面接会場を再現するのはかなり難易度が高い。自分以外の人が目の前にいる環境下で、たとえきちんと言えたとしても、本番ではどうなるのかは本当に未知数なのです。
将来の夢を問われた時、彼女は「美容師になる」と答えていました。彼女の志望校は語学に力を入れる総合学科がある高校。中学生活を通して英語に力を入れており、高校でもそれを継続したいという意思を表明していたのです。ただ、冒頭に問いかけた高校の志望理由が「受験説明会で先輩が親切に説明をしてくれて、部活動も楽しそうに思えたから」でした。つまり、高校の志望理由とこれまでの活動内容、将来の夢につながりを感じられなかったのです。
改めて彼女に緊張した際の対処方法を問いかけると、特に答えが返ってきません。公立の中学校に通学した生徒は、小学生から年度をまたぐと自動的に中学生に進級することができました。そのため、試験で次の行先を決めるのは初めてのことで、緊張感は状況によって最高潮に達する可能性があるのです。だからこそ、緊張してもすぐに立て直すことができるような体制が必要だとわかりました。
彼女の夢は「美容師」でした。美容師を目指しながら、高校生活をどのように過ごしていくのか。彼女は「地元には多くの外国人がやってくることになる。英語をはじめ外国語も話せるようになりたい」を志望理由として、冒頭に「私の夢は美容師になることです。地元にも多くの外国人が来ていますので、外国語を話せる美容師を目指すための環境があるのは御校だと思い志望しました」と話すようにアドバイスしました。
面接練習に挑むまで一生懸命文章を覚えていた彼女でしたが、私のアドバイスをどこかに書くことなくコメントを言ってもらうと、声の出方が良くなり、そこに進学したいという気持ちが伝わってきたのです。彼女もすっきりしたのか、表情も良くなり拍手をしていました。
ここまで振り返ってみると、1 回目、2 回目の面接練習は本当に大丈夫だったのでしょうか。ある程度きれいにできれば、「これでいいかな」と面接官を担当した講師はそう判断するのかもしれません。しかし、彼女はそれでも 3 回目の面接練習を希望したことから、どこかすっきりしない心境だったことが読み取れます。
私は「大丈夫」とか、励ますという言葉は、根拠のない無責任なものだと考えております。何があるから「大丈夫」なのか、何を「励ます」のか。たとえ言葉を使うにしても、「何が」、「何を」にあたる部分を明確にしてあげる必要があります。ここがわからないから、大丈夫と言われても、励まされても、納得できないのです。
私は、オーダーメイド学習塾「はつが」を通して、なりたい自分を明確にするため、本人の口から目標設定をしていただき、ことあるごとに振り返りをしていただきます。どんな内容を実施するにしてもこの部分をおろそかにすると、ぶれてしまうのです。ぜひ、私と一緒になりたい自分を目指しませんか?
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