最近、私は「暗記」を連呼しないようにしています

こんにちは、オーダーメイド学習塾「はつが」塾長の千田(ちだ)です。今回は、暗記についてお伝えします。

■暗記に対する捉え方が過去とは違う



私は子どもの頃、学校や塾の先生からよく「暗記をしなさい」と言われていました。

私が子どもだったのは1980年代から90年代。

通信手段は固定電話もしくは郵便しかない時代。
もし友達に会いたければ、友達の家に電話又はお宅を訪問して、友達のご両親に本人を呼んでもらいました。

何か調べ物をしたいと思えば、学校か近所の公民館にある図書館へ行くしかありませんでした。
学校や図書館までの道中、本に対するいろんな想いを馳せながら向かったことを覚えています。

何か欲しいものがあれば、お店に行くしかありませんでした。
スーパーマーケットがまだ珍しいころで、
親におつかいを頼まれたら1000円札を握って、野菜や肉、パンなどの買い物をしました。

文房具やCD、おもちゃ、本を買いたいと思えば、
商店街の一角にある文房具屋さん・CD屋さん・おもちゃ屋さん・本屋さんで買い物をしていました。

目的を果たすためには、その場所へ行く必要がありました(電話は除く)。
目的地にたどり着くまでの道中は、車にひかれそうになったとか危ないこともありました。
私は様々なことを失敗などの経験で学びました。

しかし、現代の子どもたちにおいてはどうでしょうか。

生まれた時からすでにスマートフォンがあります。
通信手段もデジタル化したことにより、子どもたち同士の交流が以前と比べて容易になりました。
その分、付き合いが浅くなっているのではという声も聞こえます。

何か欲しいものがあれば、お店に行かなくてもネットショップで購入できる時代になりました。
何か調べたいことがあれば、ネット検索で簡単に購入できる世の中になりました。

デジタル化に伴い、動画を容易に見れます。

つまり、私が子どものころに比べれば、不自由な部分がかなり解消されているのです。

ここで「暗記」の話に戻してみましょう。
ここからは私の所見なので、意見が違うという方はご容赦ください。

私は「暗記」するために、漢字や英単語は意味を理解しながら何回もノートなどに書きました。
算数や数学は、筆算が必要なものはとことん書きました。
社会や理科は、自分で問題を作って自分で解答を作りました。

テスト前のとき、友達と問題を出し合ったことを覚えています。自分で書いて出題するので、
この時点でアウトプットができあがっています。

私が把握している限り、現代の子どもたちは書く量が少ない。
学校の授業を見ると、板書も少ない。
漢字は1個につき5回ぐらい。
パソコンやタブレットに入れられているスライドに手で文字を書くという場面もあるようです。

この状況が影響しているのかわかりませんが、暗記が苦手な子どもを多く見かけます。
小学生・中学生・高校生問わずです。
「漢字は読めれば良いから」と親に言われている子どももいました。

では、なぜ暗記が苦手なのでしょうか。なぜ言葉や公式を覚えられなくなってしまったのでしょうか。
子どもたちへのヒアリングや私の体感によるものですが、
先程触れた動画によるものが多くを占めると考えました。

私はこれを自分で「映像記憶」と勝手に命名しています。

例えば「2×3=6」は2の段の九九ですが、
2の九九はかける数が増えれば増えるほど、2ずつ増えていきます。
ただ、映像記憶となれば「2×3=6」を画像ファイルのような感覚で覚えるようなのです。

なぜそれがわかったのか。
12の段、13の段といった大きな九九をすごくはやく言える児童がいました。
しかし、割り算となればできなくなるのです。かけ算の反対が割り算なので、
かけ算が理解できれば割り算はスムーズに解けるはずなのです。

さらに観察し続けると、「2×3=6」をそのまま完全コピーで記憶していました。
かけ算の反対が割り算と言われても理解ができないのは当然です。

このように、「暗記」という言葉に対する捉え方がここ数年で変化しているようなのです。
そのため、私は最近「暗記」という言葉を連呼しないようにしています。
「暗記」と言われれば、対象物を完全コピーしてしまうためです。

英単語や漢字については、書くしかありませんので、量を求めています。
他の事柄については、言葉そのものの意味や前後のつながりを意識させています。
特に歴史は、ストーリー性を求められる定期テストが多くなってきました。

言葉の意味や前後のつながりを理解させて覚えること。
これを「暗記」という熟語の発信だけで終わらせないことが大切だと思います。

30年前に比べて、現代は明らかにデジタル化の波が押し寄せています。

皆様も「暗記」について、考えてみてはいかがでしょうか。

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